認知症編(第四回) Dr.藤田の健康コラム
今回はレビー小体病について解説します。耳慣れない病名だと思いますが、認知症の中ではアルツハイマー型認知症に次いで、脳血管性認知症と同様に多い原因です。この病気は日本で発見された病気です。横浜市立大学の小阪先生が1980年に提唱されました。残念ながら昨年お亡くなりになりました。小柄ですが笑顔の絶えないパワフルな先生だったという印象があります。

このレビー小体病、実はパーキンソン病とほとんど同じものです。全く同じかと問われると、微妙にそうでもないところが悩ましいところです。特徴的なことは病気初期にはほとんど認知機能が落ちていないことです。さらに特徴的なことは前触れの数年間があることです。典型的レビー小体病になる方は、難治性の習慣性便秘症を、まず最初におこすことが多く、そのあとに睡眠障害(レム睡眠行動障害)を伴うことが多いです。必発ではありませんが、寝ている最中に怖い夢を見て隣に寝ている連れ添いを殴ってしまったり大声を出して騒いだりする症状を出す方がいます。ほかにも寝ている最中に足がむずむずして目が覚める症状や、いびきをかいて時々呼吸の止まる睡眠時無呼吸症候群がレビー小体病の方で多いことも知られています。一日の中ではっきりしている時間やボーっとしている時間があったりして、スイッチが入ったり切れたりどこか変だなーという印象を周囲に与えます。安定剤や睡眠薬・その他神経系の薬剤の効きすぎという症状も出ますので、医療者も時々びっくりするくらいに内服薬の過剰効果で、少量の睡眠薬で朝全く起きられないというようなことも起こりえます。認知症を起こす原因の中で一番「うつ症状」を起こすのがこのレビー小体病といっても過言ではないでしょう。パーキンソン病でも時々起こす臭いのわからない嗅覚障害はかなりの頻度で合併します。このように特徴的な前触れ症状を起こすレビー小体病ですが、認知症を伴わない「レム睡眠行動障害」と「むずむず脚症候群」の単独症状の患者さんは当院にたくさん通院されています。薬でどちらも劇的に改善します。これらの症状が認知症の前触れだと決めつけずにぜひ治療を受けてください。

幻視幻覚はとても多い症状です。実際には見えておらず見えるような気がするという症状も多いです。ぜひお願いしたのは、周囲の方は「うそついてるでしょ」という対応は避けてください。周囲にいる皆さんが見えていないと誰もが言うと、「そーかなー」という反応も時々あるのです。幻視も結構薬が効きます。しかし、副作用への配慮もありますので、処方に慣れた医師にお任せしてください。
レビー小体病が認知機能の低下を伴うときに、パーキンソン症状を伴っている方もいますし、伴っていない方もいます。パーキンソン病単独の方の運動症状と少し違う部分もあるのですが、大体同じなので、細部は省きます。パーキンソン病のお薬は結構効果があります。
この病気やパーキンソン病は、α―シヌクレインという異常タンパクが消化管や脳内に沈着して起こるものです。なぜたまるのかはアルツハイマー病と同様まだわかっていません。しかし、検査方法の進歩があること、アルツハイマー病のように治療薬の開発が進んでいることから、治療法の進歩を願ってやみません。最後に、レビー小体病は認知機能以外の症状が多いことが特徴です。診断は症状がある程度出ていれば難しくはありませんが、病気の初期では脳血流SPECTで後頭葉の血流低下を確認することが大事だという意見が多いです。認知症を見慣れた医師に相談することをお勧めします。
