認知症編(第六回) Dr.藤田の健康コラム 

急激な認知症を見たら何を考えるか?といいますと、まず脳卒中、次いで低血糖発作などの代謝性の疾患、ウイルス性など様々な脳炎、心不全・肝不全・腎不全などの臓器不全に伴うもの、入院を契機におこることの多い「せん妄」という高齢者に多い脳不全(脳不全という言葉はありませんが、自分的にはしっくりきます。)があります。

一番気を付けていただきたいのは脳卒中です。脳卒中といわれると意識がおかしいとか、言葉で呂律が回らない、手足のまひなどの障害があるはずと思い込みはないでしょうか。実はボーっとして、元気がない、反応が遅いけれども手足のまひはないし、自分のことはできるし、人が変わった様な違和感があるのだけれども、そこそこシャンシャン歩いているし、しいて言えば認知症のような・・・うつのような・・・と思われる、そういう脳卒中はよく経験します。

運動神経を巻き込まない脳卒中は起こりえます。脳の機能局在を考えても結構起こりえることです。急におこった時には、脳卒中など、身体に「危ないことが起きている」可能性が高いので、早く医療機関に受診してください。

そのほかのよくあるパターンとして、高血圧があったり健康診断で糖尿病の指摘があっても元気だし病院へ行くほど具合悪いわけでもないし、一生薬漬けになるのも嫌だしということで、放置されている方がおられます。このような方々のまず不幸なパターン1)は、年金世代前後で脳出血を起こしてしまうことです。

若いのに気の毒ですねというひどい後遺症を伴って認知機能も落ちてしまうことです。パターン2)は、特に細動脈の脳動脈硬化症をおこし小さな脳梗塞を起こし、これを繰り返すことです。繰り返すことで脳梗塞が多発し多発脳梗塞性の認知症を起こしてしまうことです。この時に繰り返すたびに階段を落ちるような形で認知機能が落ちていきます。脳梗塞が小さくても繰り返すことが症状を悪化させていきます。

若いころからの生活習慣病を放置することで脳の細動脈全体が動脈硬化を起こしており、脳梗塞のみならず脳出血をおこす予備軍でもあります。血圧を下げ過ぎますとめまいを起こしやすく循環も悪くなって脳梗塞を起こしやすい、高い血圧を放置すると脳出血を起こしやすい、血液サラサラの薬すぎると脳出血を起こしやすい、本当にさじ加減がむつかしくなってしまいます。

脳血管性認知症の方々は感情が高ぶったり、落ち込んだり、不安・焦燥感が強くなったりします。手足が震え歩行障害が起こる脳血管性パーキンソニズムもよくある症状です。いろいろ治療薬はありますが有効なことも効き目の悪いこともあります。ここで強調したいことは、若いころからの塩分脂分の多い食生活・喫煙・大量の飲酒を見直しませんと大変なことになるということです。

寿命は延びました、苦しむ時間を延ばさないためにも、生活習慣の見直しが必要です。過ぎたるは猶及ばざるが如し、です。