認知症編(第八回) Dr.藤田の健康コラム
認知症を引き起こす病気を説明してまいりましたが、今回は治る、ないし良くなる可能性が高い疾患を説明します。脳外科的病気としましてはまず脳腫瘍です。良性の髄膜種でかなり大きくなって認知機能の低下を起こすことがあります。悪性の脳腫瘍もありますので各疾患の悪性度や、できた場所で症状に違いがありますので、専門医にお尋ね下さい。

脳外科疾患の中で一番多いのは慢性硬膜下血腫です。脳の表面と脳を包む膜の間にある血管の損傷で起こります。比較的軽い外傷で起こることが多いです。頭をぶつけてから数週間から数か月の間に起こります。若い人ほど頭痛で発病します。年齢が高い人ほど、認知機能が低下するまで発見が遅れることがあります。血腫量の少ない早い時期に発見できると漢方薬だけで治癒することがありますが、かなり大きくなっていれば手術しかありません。脳神経外科の手術の中では一番侵襲の少ない手術と私は思います。
急性硬膜下血腫は強い外傷で起こり死亡率が高いです。令和6年に有名な漫画家がなくなりました。慢性硬膜下は治療を拒否なさらない限りまず助かりますし、後遺症は少ないです。
正常圧水頭症は脳・脊髄の中や表面を満たしている脳脊髄液の吸収障害が原因と考えられています。3つの特徴的な症状があります。1つ目は歩行障害です。歩幅が減ってちょこちょこ歩きます、膝をあまりあげなくなるすり足、バランスをとるために股を広げて歩く開脚歩行が特徴です。一歩目が出ないすくみ足はあっても、パーキンソン病のような前かがみ(前屈歩行)は稀です。2つ目は認知機能の低下です。記憶障害といっても結構保たれていることが多いのですが、注意力が低下することが多く、言葉がなかなか口に出てこない、行動が緩慢でモッタリする、何となく元気がない、こういう症状がゆっくり進んでいきます。3つ目は排尿障害です。頻尿と尿意が切迫するという症状が先行し、失禁することが出てきます。この病気の診断はCTやMRIを行って脳血流検査を行い、この疾患が疑わしいときには入院の上髄液を排出する試験を行って症状の改善のある時に脳脊髄液をおなかの腹腔へ排出するシャント手術で改善します。脳脊髄液を排泄する際に圧をコントロールする圧可変バルブが近年すごく進歩しておりますので、治療成績はものすごく向上しています。
脳神経外科的に稀な病気ですが、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻も認知症の原因として挙げられます。脳を栄養する血流が静脈にダイレクトに流れてしまい心臓に戻っていくので、栄養や酸素が脳に供給されなくなります。ガス欠のような状態ですね。手術やカテーテル手術で改善します。次回は内科的原因起こる認知症を説明いたします。
