認知症編(第五回) Dr.藤田の健康コラム
脳血管性認知症について説明します。年齢とともにアルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβは、誰にでも脳内にたまりますし、脳動脈硬化症も誰の脳内でも程度の差はあれども起こります。
老年期におこる認知症はどのタイプであっても脳血管性認知症を合併していても不思議ではありませんし、もちろん脳血管障害だけでも認知機能は落ちます。代表的なパターンを説明いたします。

- 多発脳梗塞性認知症、何度も脳梗塞を起こしているうちに認知機能が落ちる状態です。
小さな脳梗塞を起こすたびに階段状に症状が進行する傾向があります。手足の麻痺があることもないこともあります。 - 小血管病性認知症、これは説明がむつかしいです。
細い動脈の動脈硬化や血管壁にアミロイド蛋白の沈着が起こる人がいます。脳の表面には神経細胞があります(大脳皮質とか灰白質と呼ばれます)。その内部には神経線維があります。(大脳皮質下とか白質と呼ばれます)。大脳表面の小動脈に沈着するアミロイド蛋白は、アルツハイマー型認知症のアミロイドβと全く同じものではありませんが、アミロイド血管症の強い方はアルツハイマー型認知症を併発する確率も高いです。この血管症は後頭葉など頭の後ろに発症しやすく微小な脳出血を伴うことが多く、高血圧などを伴っていると脳出血を起こしやすくなります。皮質下の小血管病変は脳梗塞を伴ったり、ビンスワンガー型といって広い範囲にわたって、神経線維を包んでいる「さや」(髄鞘という構造)を壊してしまいます。その結果認知症が引き起こされます。 - 認知症になりやすい部位を直撃する脳卒中による認知症もあります。小脳・視床・後頭葉・側頭葉・前頭葉など、多岐にわたります。この部位では一回目の脳卒中で、認知機能が急に高度に低下することがありますので、要注意です。特にこれらの部位では半身の麻痺を起こさないことが多く、突然口数が少なくなった、黙りこくってうつみたいになった、反応が鈍いけれどもちゃんと歩いているし・・・という、一般の方には脳卒中と思えない発病の仕方になります。
- 低酸素脳症によるものです。心筋梗塞の後に心臓が停止し脳に血流が流れなくなった時に、脳全体が貧血状態になり全般的に認知機能が低下します。
- 脳出血性認知症、脳出血やくも膜な出血の後の認知機能低下です。以前はとても多かったのですが、高血圧の治療で激減していますが、若い方は元気なので健康診断を軽視することがあり、いまだに不幸な事例はあります。脳ドックがおすすめです。徹夜・酒・たばこなんでも大丈夫ではありませんよ。
- 遺伝性の血管障害です。稀ですがあります。
- 混合型認知症、脳血管障害もあるが、アルツハイマー型などほかの疾患と合併するものです。年々増えています。
これらをもう少し具体的に一つずつ次回に解説します。
