認知症編(第九回) Dr.藤田の健康コラム 

認知症というと脳の病気でしょう?と思われると思います。実は脳は血流をもらって、酸素をもらって、糖分などの栄養ももらって生きています。その供給元は脳の外にあるのです。脳の重さは1300グラム程度、体重60kgの人であれば、体重の2%が脳の重さです。体重が増えても脳は大きくなりません。60kg程度のガタイの方であれば体重の2%程度の脳みそが、身体の2割以上の酸素・血流・栄養を消費しています。それだけ脳は燃費が悪く、身体の状況が悪ければすぐに酸欠・ガス欠・脱水になってしまいます。特に血流を押し出す心臓・酸素を取り込む肺・栄養をため込みタンパク質合成する肝臓・血液を濾しだす腎臓が大きな影響を与えます。つまりこういうことが言えます。心臓などの主要な臓器内臓が悪ければ脳は生きていけない、そういうことです。

認知症を診療している医師として、何を気にしているかというとまず、生活が破たんしていないかです。つまりきちんとご飯が食べられているのか、便秘していないか、脱水はないか、眠れているのかです。そして自家用車の運転です(免許返納してほしいことは別稿記載します)次いでたばこ(火事の原因)お酒(人間関係こじれの原因とともにビタミン欠乏症を伴うアルコール性認知症は年に数人診ます)などの嗜好品です。同様に気にしていることは、お薬で何を服薬しているか(大量の睡眠薬や認知症治療と相性の悪い薬)、胃の手術を受けていないか(ビタミンB12や葉酸の欠乏)、甲状腺機能低下症はないか、心不全・肝不全・呼吸不全・腎不全はないか、こんなことを考えて診療しています。ほとんどの方がかかりつけの先生がおりますので、薬手帳を参考にしています。

夏になると脱水症から熱中症を引き起こして、急に意識がボーっとして認知機能の低下する方々をここ数年診てまいりました。以前ほとんど熱中症は若い人たちでしたが、最近はほとんどが窓を閉め切った環境の中にいるご高齢の方々です。発見が遅れると死に至りますので、ご注意ください。北海道ではエアコンの普及率が低く、夏の室内環境は日本一悪いといわれています。その逆が冬場の室内温度で、北海道が日本一高いそうです。寒い脱衣所浴室に熱いお風呂が急激な心肺停止を起こしうるヒートショックを誘発します。助かっても無酸素脳症からくる後遺症が甚大ですので、脱衣所は暖かくしてください。お湯の温度は42度を超えないようにしましょう。

あと市販薬で鎮痛剤や風邪薬・栄養ドリンクの過剰摂取で精神神経症状をきたす場合があります。体に良いからとなんでもサプリに頼らないようにしていただきたいですし、かかりつけの先生や薬剤師さんにもアドバイスを仰いでください。食品も同様です。体に良いからとそればっかり食べ、そればっかり飲むのではなく、少量ずつバランスの取れた摂食を心がけてください。