認知症編(第七回) Dr.藤田の健康コラム 

今回は、症例数は少ないながらも特徴的な認知機能障害を起こす病気を簡略に解説いたします。まず前頭側頭葉変性症です、ついでその他の神経変性性認知症を説明します。

前頭側頭葉変性症は数こそ少ないですが、特徴的な症状を呈します。三つだけ説明します。まず一番有名な病態はかつてピック病と呼ばれた行動障害型です。社会通念や礼節に欠け自分本位な行動が見られます。万引きや暴言など反社会的な行動がみられる時があります。共感性が低下し悲しい場面で笑い出す、同じ場所をぐるぐる歩き回る、甘いものを大量に食べるなど唖然とさせる行動があり、砂糖一袋が一週間持たない人もおりました。暴力的な症状に薬を使いますが、根本的な治療はありません。進行が遅いことが多いのが救いですが、家族の大変さがあり、介護保険利用が望ましいです。二番目は言葉の意味が分からなくなる意味性認知症=語義失語型(ごぎしつご)という病態です。病気の初期から言葉の意味が分からなくなり(大根切ってくれる?に対して大根って何?)ことわざが通じなくなり(犬も歩けば当たるのなーに?の問いに答えられません)ます。三番目は進行性非流暢性言語型という病態です。特徴的な言葉は電報のような発語です。助詞が欠落してしまいますので、父さん具合悪いからすぐ来てね!と言えず、父危篤すぐ帰れ!になってしまいます。そしてどもりがないのに努力を伴う滞る発語です。二番目三番目の治療方法はまず言語療法です。

嗜銀顆粒性認知症という病気があります。長谷川式認知症検査を開発した長谷川和夫先生自らこの病気だと公表したことで有名になりました。高齢発病とても頑固という特徴があり側頭葉萎縮に左右差が目立つというものですが進行がとても遅く精神症状が安定できるように処方します。

舌を噛みそうな病名が続きますが、大脳皮質基底核変性症はかなり多いと感じております。手足の症状が左右非対称であることが特徴です。筋肉が固い・運動が緩慢・ねじるようなジストニア・ぴくっと動くミオクローヌス・意識してないのに動かしたり行動ができない他人の手徴候(麻痺がないのに袖に腕を通せないこと、エイリアンハンドとも言います)・皮質性感覚(硬貨を握って重さで判断・麻雀で盲牌する)の障害が起こります。

今回の最後が、進行性核上性麻痺です。パーキンソン病と似ていますが非なるものです。初期から姿勢を保持できない症状がメインで、よく転びます。注意障害や把握反射(握ったものを離そうとしても離せない)がおこるのでその場で特に後方にひっくり返ることがあります。進行すると眼球運動障害(特に垂直方向)が起こりますので、ここまで来るとさすがに診断がつきます。なるべく早めにこの病気を疑いリハビリをすることが肝要です。特効薬はないのですが、記憶の低下は高度でないことが多く、生活環境を整えるためにも介護保険の利用が必須です。次回は治療がかなり可能な認知症を説明します。