認知症編(第一回) Dr.藤田の健康コラム

認知症って何でしょうか?認知症は一度発達した認知機能がだんだん低下して進んでいくことを意味します。赤ちゃんが認知症になるということはないのです。

原因で一番多く有名なのがアルツハイマー型認知症です。次いでパーキンソン病や幻視幻覚の起こりやすいレビー小体病があります。脳梗塞や脳卒中の後に起こる脳血管性認知症、これらに比べると稀ですが我が道を行く行動や言語障害の目立つこともある前頭側頭型認知症の4つが四大認知症と言われます。そのほかに稀ですが様々な原因があります。内科的疾患の甲状腺機能低下症や貧血が原因になることもあります。脳の腫瘍や水頭症、頭部外傷も原因となります。

 認知症の症状は物忘れ(記憶力・判断力・時間や場所がわからない)と、精神的な症状(意欲がなくなる・眠れない・怒りやすくなる・幻覚幻視など)の二つがおもな症状です。

一番厄介なのは精神症状です。例えば健康保険証や年金手帳など大事なものほど失くしてしまいます。大事なものだから失くしたら困る誰かに取られたら困るという心理が働き移動させます。置いたところを忘れて見つからないと誰かが盗んだという思い込みが働き、家族さんや身近な人たちを疑い人間関係が崩れることがままあります。

ちょっと前のことを忘れてしまうのも困った症状ですが、周囲から攻められたり子ども扱いされるとプライドを傷つけられ、暴言や手を挙げることも出てきます。病院に行こうよと促しても私はボケていないと拒絶されることも多いと思います。かかりつけの先生に脳の健康診断を受けましょうねと促してもらうように周囲に事情を説明して物事を進めるようにされたら良いと思います。

 医療機関で、ものわすれの程度を調べたり、時にはうつの状況を調べることもあります。脳の画像検査(CTやMRI)や採血で甲状腺機能や貧血などを調べます。診断がむつかしい時には脳血流検査などを行うこともあります。

 認知症の診断は糖尿病や脂質異常症のように、採血検査の結果、数字で判断ができるというようなクリアカットにわかるものではありません。現在アルツハイマー型認知症でアミロイドPETが開発されましたが、この検査は地域差がありオホーツク圏では都会と同じことはできないのが実情です。内服治療の発展がありましたが、いずれ一般的になるでろうと期待される点滴治療など、待たれるところです。

 そして残念ながら認知症と断定されると、自動車などの免許証を自主返納していただかないとなりません。判断力低下から交通事故を起こしやすいのは明白です。

 認知症になると徘徊し行方不明になる方がおられます。2023年に全国で2万人弱が行方不明になりました。各市町村で「SOSネットワーク」があります。事前に登録しておき、行方不明になったら早期に発見できるようにできるネットワークです。もちろん介護申請をまず行っていただき、ケアマネージャーさんと相談しておいてください。

 最後に、認知症のないかたがたにとってこの病気は他人事と考えてよいのでしょうか。答えは「否」です。寿命が伸びで女性は90歳男性も85歳はごく当たり前になりました。年齢とともに認知症の方は増えていきます。連れ添い・兄弟、誰もが長寿と引き換えに認知症やほかの疾患も危険度が増していきます。常日頃から予防に努めることはとても大事なことです。簡単にまとめると孤立せず運動して、塩分を控えて食事をまんべんなく栄養素のバランスの取れた状態で摂り、生活習慣病を避けること、治療すること。視力や聴力を補正すること。こういったことで、確率を半分近くに減らせることがわかってきました。次回からもう少し掘り下げて連載します。