認知症編(第十回) Dr.藤田の健康コラム
介護保険について個人的なことも交え思うことを書きます。家族家庭が大きく変わってきたのが60年ちょっと前のことだと思います。そのころ私は大家族で育ち、よほどでない限りお産も病気養生も自宅でする時代でした。お風呂は銭湯か「もらい湯」が一般的で、固定電話は普及しておらず電話交換手の居た時代でした。介護は家庭内で完結するものだったと思います。東洋の魔女が活躍した東京オリンピックのころから核家族化が進みましたが、この頃は今に比べればまだ多子かつ寿命は70歳前後でした。近年少子かつ高齢化と人口減少で、親の介護のために仕事を辞めざるを得ない方がおられる現実は喜べませんし、また子育ての悩みが同時に起こると板挟みになります。親が認知症に、連れ添いが病気に、子供が不登校で発達障害があったりしたとき、その一つでも大変ですがダブルで来ると生活に仕事に多大な支障を生じます。ヤングケアラーはもっと大変です学業や就職に大きなハンデを背負います。老々介護だって大変です。自分のことでままならないことがあっても、それでも連れ添いの面倒を見てがんばり、頑張っても感謝の一言もなく、こっちだってきついのに「バカヤロー」の一言も言いたいけれどもぐっとこらえる。身内の介護はどちらかが?どちらも?遠慮がないのできついのです。だから介護保険です。

介護保険でわからないことは行政の担当窓口か包括支援センターで伺いましょう。ざっくり言えば家に住み続けて受けられるサービスと住み替えて受けるサービスに分かれます。別の言い方をすると、家に来てくれる訪問系、外で受けるサービスの通所系、介護施設の入所系の三つです。まず親切なケアマネージャーさんが時々来てくれる、次いで家事の手伝いでヘルパーさんが来てくれる、体調管理で訪問看護さんが来てくれる、そういう流れから、リハビリや入浴を兼ねてデイサービスに行ってみるなどで保険サービスを拡充するのが良いと思います。押し付けや、カタカナ言葉の説明は拒否されることにつながります。安心して生活できるように、家族さんが介護のために止む無く離職してしまうことや、生活の激変を伴うことは避けねばなりません。
結びに、年配の方に接するときの注意点です。目を見て話すこと、ゆっくり話すこと、相手に聞こえる声で話すこと(場合によっては大きな声が必要ですがゆっくり話すことを心がけましょう)、後ろから声かけしないこと、笑顔を心がけること、相槌をうち素直に共感を示すことです。
会話の内容です、否定したり叱ったり、忘れたことを無理に思い出させようとほじくり返すことはやめましょう。大事な財布、通帳、銀行印、保険証などしまい忘れが目立つようになりますが、一緒に探してあげましょう。安心感を与えて、「あんたに任せる」となるとしめたものです。以上は自分が母と接していて身にしみて感じたことです。老いても親は親でした。
